あとがき

本のあとがきが嫌いだった。

 

紙の本の最後に現れるあとがきが嫌い。

 

それまで確かに私は幻想の世界の人々と会話を楽しんだり、冒険の旅に出ていたりしたはずなのに、急に現実に引き戻されてしまう感覚。
私と本とだけの関係の中に突然土足で踏み込まれたような感覚が嫌い。

 

最後の一文字を辿ったと思ったら現れる「あ」が嫌い。
もう少しだけ、本の世界の余韻を味わせてほしかった。

 

だから少しの抵抗として、「あ」が出たらそのまま閉じてしまうのだ。