本屋で泣きそうになったはなし

今日、出先で時間ができたのでふらっと立ち寄った本屋で泣きそうになった。

 

わたしはもともと本を読むのが好きだった。

物語が好きだった。

中学生くらいまでは図書館に通っては本を借り、本屋に行けば興味のある本を探し、とりあえず本があればいつまででも過ごせるような、そんな子どもだった。

そこに行けばいつでもたくさんの本に出会える図書館や本屋は宝の山みたいだと思っていたし、楽しかった。

だが、高校生くらいから足が遠のき、あまり本を読まなくなってしまった。

単純に勉強や受験や、他にやらないといけないことが出てきて時間がなかったというのもあるけれど、それよりも読みたい本に出会える確率が、それまでよりも下がってしまった気がしたからだ。

年齢が上がるにつれて手に届きやすい本の選択肢の中に恋愛の描写が入っているものが格段に増えていくような気がした。

小説を開けば男と女の恋愛恋愛恋愛…。

最初は楽しく読めていても、登場人物の誰かと誰かが恋愛関係になり始めると冷めてしまう。

男と女が出てきて恋愛関係にならない話、もしくは女の子が恋をして母になり…みたいなのじゃない話はないのか。

男でも女でもいい、登場人物が登場人物のまま、恋愛じゃない何かしらの人間関係の中でその人らしく生きていく話が読みたかった。

だけど恋愛が絡まない話を探すのは広い海の中からお気に入りの宝物をひとつ探すみたいなもので、当時のわたしにとってはそれがなかなかに難しく、次第に足が遠のいてしまった。

それからの何年かは、必要になったときに必要な本を買ったり借りたりするくらいの距離感を保ちつつ、小説や物語と入れ替わるようにして、漫画をよく読むようになったのだった。

 

昨年くらいから、数ヶ月に1度本屋で気になった本をわっとまとめて買う会をひとりで開催している。

フェミニズムの関係に興味を持ちはじめ、読みたい本がいくつか出てきたためだ。

ここ何回かはだいたい足を運ぶ場所が決まっていて同じようなルートを見て回って、気になった本があれば手に取る、くらいの感じだった。

最近いろんな人のおすすめや、細々とした本との出会いを通じて気になる本がちらほら増えてきていたので、今日はなんとなく最近近寄らなかったジャンルの方まで全体に回ってみようと思えた。

ひとつひとつタイトルを辿りながらゆっくりと眺めて回った書架の中で、読んでみたいと思える本がいくつか見つかった。

本の海の中でそれらの本たちがキラキラと輝いて見えて、泣きそうになった。

本に囲まれてわくわくしていた、昔の気持ちが蘇った気がした。

途方もない数の本の中で、これだ!と思うものを見つけるのはまだまだ難しい。

でも広い海の中でわたしにとっての宝物を見つける手がかりが、少しだけわかった気がする。

今日選んだ本たちは前回までの本とは少し顔触れが違っている。